日本人にはおそらくあまり馴染がないであろう、エルサルバドルは、中米に位置する小さな国です。
国土は日本の四国ほどの広さしかありませんが、その歴史や自然は興味深く、近年の劇的な変化には驚きますよ。
一時は「世界で最も危険な国」と呼ばれていた
エルサルバドルは、5年ほど前まで治安が非常に悪いことで知られていました。その背景には、ギャング組織「マラス」(MS-13やバリオ18など)の存在があります。彼らによる抗争や犯罪が社会を支配し、一時は世界で最も殺人率が高い国とも言われました。特に、貧しい地域では住民がギャングに支配され、日常生活すら脅かされていました。
しかし、ここ数年で劇的な変化が起こりました。現在のナジブ・ブケレ大統領が就任し、ギャングを一掃するための徹底的な治安対策を実施したのです。人口600万人の国に4万人を収容できる巨大刑務所を建設したことは有名で日本でもニュースになりました。逮捕状無しで怪しい人はどんどん逮捕できるという強硬な手段には賛否両論がありますが、結果的に殺人率は大幅に減少し、治安は飛躍的に改善しました。この変化により、エルサルバドルには観光客も少しずつ戻りつつあります。
歴史の中で繰り返されてきた闘争
治安の問題だけでなく、エルサルバドルの歴史は波乱の連続でした。20世紀後半には内戦が勃発し、富裕層の少数家族が政治や経済を牛耳る構造の中で、貧しい人々が長く虐げられてきました。
それ以前にさかのぼると、エルサルバドルはマヤ文明の影響を受けた地域でもあります。国土内には、マヤの文化や遺跡が点在しており、その歴史の断片を垣間見ることができます。
アメリカとつながる移民の歴史
治安の悪化が続いた数十年の間に、多くのエルサルバドル人が祖国を離れ、アメリカに移住しました。現在、アメリカ国内には約200万人のエルサルバドル人が住んでおり、これはエルサルバドルの総人口の約3分の1に匹敵するほどです。この移民の流れは、エルサルバドル国内の労働力や家族構成に影響を与える一方で、アメリカからの送金がエルサルバドル経済の重要な支柱となっています。
また、アメリカに移住したエルサルバドル人が多いためか、国内には他の中米諸国と比べて英語を話せる人が多いのも特徴です。特に若い世代や都市部では英語を話す人が増えつつあり、外国からの観光客にとってもありがたい環境となっています。
自然の驚異:火山と美しい景観
エルサルバドルは「火山国」としても知られています。国内には20以上の火山があり、その中には現在も活動を続ける火山もあります。首都サンサルバドルの近郊にも火山がそびえており、街からも美しい山を見ることができます。
また、エルサルバドルは中米で唯一太平洋にのみ面している国であり、美しいビーチやサーフスポットが多いことでも知られています。火山活動によって肥沃な土壌が広がっているため、コーヒー栽培も盛んで、エルサルバドル産のコーヒーは世界的にも高い評価を受けています。
小さな国に秘められた大きな魅力
さて、皆さんもエルサルバドルについて、どんな国かすこし想像がついたでしょうか。
次はいよいよ、そのエルサルバドルの首都サンサルバドルに足を踏み入れる旅の始まりです!
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